ハワイ王朝第7代君主カラーカウア王の妃、カピオラニ王妃は、56歳の時に当時の住まいだったイオラニ宮殿で、「He manaʻo healoha(愛しい貴方への愛)という歌い出しで始まる不朽のラブソング「カ・イポ・レイ・マヌ」を作ります。
当時、ハワイ王国の不安定な情勢を打破しようと懸命に働くカラーカウア王。しかし、過度なストレスで健康を害してしまいます。「環境を変えて療養せよ」という主治医の指示により、1890年11月25日、メインランドサンフランシスコへ向かってホノルル港を発ちます。
「私の愛しい人はマヌ(鳥)のようだ」と自分の元を離れてサンフランシスコで療養生活を送るカラーカウア王を案じながら、一人で過ごす27年目の結婚記念日(12月8日)。最愛の夫へのサプライズギフトとして作ったのではないかと推測します。
しかし、1891年1月20日、カラーカウア王は、療養先のサンフランシスコのパレスホテルで客死、最愛の妻が作ったラブソングを生きて聞く事はありませんでした。
ここ数年、12月最後の土曜日にイオラニ宮殿では、カピオラニ王妃の生誕(1836年12月31日生れ)を祝って、EVNING TOURが開催されています。通常、ビジター入館は宮殿の裏からで開館時間も午後4時迄ですが、この日だけは、陽気な王様「カラーカウア王」が主催していた舞踏会に招待を受けたような演出が施されますので、入館も正面玄関からです。
館内ではライブ音楽を耳にしながら、宮殿を案内される「一晩限りのEVENING TOUR」、まさに、ハワイ王朝ファンの私にとっては「お宝的イベント」です。また、エンタメ好きだったカラーカウア王の時代は、音楽が宮殿生活の必須アイテムでしたので、当時、宮殿内で演奏されていたであろう19世紀の曲のみで演出されます。
今年の開催日は12/27。カピオラニ王妃の生誕180周年を記念して、昨年より開館時間が30分延長されましたが、宮殿玄関口の前にできるビジターの恒例の長い列は今年も健在。しかし、宮殿玄関前に設置されたステージで、ROYAL VOICEのKU’UIPO KUMUKAHIやMANU BOYDが、ロイヤルファミリーの作品コレクションをライブ演奏していたため、2時間の待ち時間も全く辛くなく、むしろ、王様に招待された客の一人のようなワクワク感で一杯でした。
そして、イオラニ宮殿の中で演奏されている「KA IPO LEI MANU」を聞きながら、私は、2014年の年の瀬から、124年前の年の瀬(カピオラニ王妃の誕生日1890年12月31日)へ勝手にタイムトリップ、当時のカピオラニ王妃の気持ちを想像してみました。
「ネイティブハワイアンの急激な人口減少に歯止めをかけるために開院したカピオラニ・マタニティ・ホーム(1890年6月開院。現在のカピオラニウェメンズ&チルドレン病院)のさらなる充実、モロカイ島カラウパパに隔離されているハンセン氏病患者の生活の向上に務めよう、また、最愛の夫の早期回復を願い、彼が健康になって帰宅した時は、この曲で出迎えよう。きっと舞踏会好きのカラーカウア王は、このラブソングを気に入ってくれるでしょう。」
カピオラニ王妃の気持ちが込められた「KA IPO LEI MANU」は、日本のクプナ世代のフラダンサーの皆様におすすめしたい一曲です。
その際は、イオラニ宮殿の訪問を必須でお願いします。♡
曲は↓